令和6年11月鑑賞会
晩秋にしては暖かい刀剣日和となった令和6年11月17日(日)の午後、11月の支部鑑賞会・勉強会がいつもの市川市文化会館で20名強の参加を得て開催できましたので活動報告とします。
今回の講師は藤代龍哉先生です。研ぎ師の視点からはもちろん、先生の豊富な知識、知見、資料が非常にためになります。
今回はずばり鎌倉古刀から明治の近代刀(*)までのオール備前伝をご持参頂きました。天位88点二人、人位85点の高得点が出ました。当日の様子は写真にて雰囲気を感じて下さい。
2号刀以外は全て年紀入り在銘品で、3号刀は豪快な特重です。2号刀も踏ん張りこそ弱いですが、身幅、肉置き、刃文などは現代刀にも見える典型作であり豪刀でした。
元は3尺近かったでしょうネ。
古刀備前伝は南北朝、応永、永享はほぼ30年間であるのに対し、いわゆる末備前は120年以上であり、様々な歴史的背景があるとのこと。姿の変遷はもちろん、刃文、造り込み、焼入れ方法などで、時に大きく、時に微妙に変わってくると。刃文も偶然から必然、制御の可否があるようです。難しいです!
なお今回は諸事情により鑑定刀の詳細は省いています。年明けには解禁できそうですので、しばしお待ちください。
(*)近代刀はあまり使われませんが、御父上の興里先生が以前お使いになり、成程と思いますので、久しぶりに使います。概ね明治の廃刀令から靖国刀を含みます。
現代刀は昭和28年の武器製造法により作刀復活してから現在まで続きます。いかがですか?
藤代先生、いつも有難うございます。今回は特に重たかったでしょう。ご参加の皆様、熱心に鑑賞、勉強、雑談いただき有難うございました。
今年の支部鑑賞会は本日が最終です。会場を貸して下さる市川市文化会館には感謝です。来年もよろしくお願いします。
なお12月15日には有志勉強会をいつもの時間・場所で開催予定です。開催次第などは当HP令和6年8月の活動報告内容に準じます。名品、難品、珍品をご持参のうえご参加下さい。
一気に寒くなりました。皆様どうぞご自愛ください。
令和6年10月鑑賞会
好天に恵まれた10月20日(日)の午後、支部勉強会が市川市文化会館で10余名の参加を得て開催できましたので活動報告とします。いつもより参加者が少ない分、ゆっくりと鑑賞出来ましたが少々寂しいですネ。次回の盛況を期待します。講師は日頃からお世話になっている岩田隆先生です。特重1重要4の名品を御持参頂きました。内訳は古備前2、応永備前1、肥後1、山城新刀1でした。
古備前1はやや細身で小乱れを基調に二重、三重の焼き刃が美しい在銘の特重太刀。よく詰んだ地鉄に地斑映りも交じる。茎尻近くに残る小さな成の字がなんとも古雅な感じでした。
古備前2は対照的に幅広で輪反りのような反り強い大振りの太刀。茎にしっかり残された景の二字銘も大振りで迫力ありました。鍛えはねっとり感ある板目調に角張る小乱れが勢いを感じました。
同じ古備前でも対照的な二口で、美しい刀と強い刀が並びました。
応永備前は磨上の二字在銘で腰開きの丁子が華やか。盛光か康光かと思いましたがやや丸味を帯びた刃取りから皆さん盛光に入札。
盛光は南北朝→小反り(挙りから来ているとのこと)→応永の流れを継承し、初期は小反り風、応永二桁になると華やかになる。
康光は盛光よりやや時代が下がり、小反り風はない、と。
肥後短刀は重ね厚く、幅広、寸延び、反り僅かな形状で鎌倉末から南北朝初期の典型的な体配。棒樋が棟寄りに彫られ山城短刀に見紛う美しい延寿短刀でした。
延寿と来の近い関係は知られており、国光、国次は国こそ違いますが同然。
山城新刀は長く重くゴリゴリの慶長新刀のような体配。長めの焼き出しに始まり、湾れに角張る沸え感ある刃取りで寛永頃の山城、大坂の入札がありました。
天和年紀入りの3/4代金道合作の難物で岩田先生も当たらないと思ってご持参されました(笑)。
岩田先生、いつも有難うございます。
次回は11月17日(日)午後、市川市文化会館で藤代先生の予定です。
11月2日3日は恒例の大刀剣市です。掘り出し物に出会えますように!
令和6年9月鑑賞会
残暑とは思えない暑さが続く中、刀好きが集う定例鑑賞会が9月15日の午後、市川市文化会館で20余名の参加を得て開催できました。
講師はつるぎの屋店主の冥賀吉也先生にお願いしました。兼光(無銘)、兼定(和泉守ノサダ)、氏房(若狭守)、正広(河内大掾)、谷川盛吉の刀五口を御持参くださいました。
兼光は磨上記録を茎に切りつけた珍しいもの。大切先に映り、湾れに小互の目の刃文などから兼光一派と見ればよい。古研ぎゆえ冴えが足らないが研ぎ上げればさらに良くなることが期待される。
兼定は末古刀の典型姿、すなわち先反り、鎬を盗むといわれる作りこみ、頭の丸い互の目、全体の出来栄えなどから末関の上作と見ればよい。兼元の刃文はいわゆる三本杉風で尖りこころになる。
氏房も末古刀の体配である。匂い口が締まったり沸えたりする点、また互の目と箱乱れも見られる。氏房は北条氏の庇護を受けたとの説もあるが活動歴を見ると織田信長の庇護を受けたと思われる。若狭守受領も信長の庇護が伺われる。
正広は寛永と寛文を結ぶような体配、綺麗な地鉄、ふくらに沿った帽子、放胆な乱れ刃などから大きく肥前傍系と見ればよい。正広はじめ行広、忠国などが該当する。
盛吉は茎にも倣清麿との銘がある清麿写しの傑作。大切先に金筋かかり、長寸幅広の豪壮な体配。現代刀の清麿写しと見れば満点。清麿写しは盛吉と宗勉が上手ではないか。
95点、85点の高得点が出ました。冥賀先生には残暑厳しい中を長い重い名刀をご持参いただき、絶妙な解説をして頂きました。有難うございます。
次回鑑賞会は10月20日、市川市文化会館で岩田隆先生にお願いしております。奮ってご参加ください。
令和6年8月有志勉強会
猛暑が続く8月4日(日)午後、有志持ち寄りによる支部勉強会を市川市文化会館で10余名の参加を得て開催しました。事前にお願いしていた通り有志自慢の愛刀、鑑定あり、
極め・真贋不明、無冠の古刀、新刀、新々刀の計13口の名品、珍品、難品をご持参頂きました。
薩摩新々刀の大小、美濃大小、新刀備前大小、江戸大坂越前、一文字、手掻短刀、金剛短刀です。支部会員の好みもなんとなくわかりますネ。
持ち主が判者を務め、参加者が入札します
。判者は恒例に従って当り、同然、能く、通り、イヤなどヒントを与えます。判者(=持ち主)から見れば典型作でも、
入札者から見れば博物館などで目にする典型作とはやや趣が異なり一の札での当りは少なく、よい勉強会になりました。
入札後は判者が茎を開けて解説します。解説の仕方も色々で姿、地鉄、刃文の順に説明する方、銘と特徴を優先する方、見ればわかるといった簡単な説明で終わる方などいろいろですが、
そこは内輪の勉強会らしく和やかに終始しました。思えば自分の刀でさえうまく説明することは至難であり、また他人の見方も大いに参考になりました。
定例鑑賞会での講師のご苦労が想像できます。改めて感謝です。本日ご参加の皆さん、暑い中有難うございました。
令和6年7月鑑賞会
梅雨明け炎暑の7月21日(日)午後、7月の支部鑑賞会を市川市文化会館で他支部の方、見学の方も含め25余名の参加を得て開催しました。7月は例年通り刀装具鑑賞会としており、
今年も尚友会会長 葉山修陽氏に講師をお願いしました。今回は小柄の勉強鑑賞会とし、室町から幕末にかけての、名品約30点を御持参頂きました。永年使用による時代感溢れるものから
未使用に近いものが並びました。葉山先生から鑑賞前の一言として ①先ずは全体鑑賞 ②作り・形状・材料 ③作者鑑定と向かうべきとの訓がありました。刀剣鑑賞鑑定と通ずるものですネ。
また刀装具は後藤家を中心とする関わりがあるので、後藤作品を基軸にその周辺、時代の他金工作品を勉強するのも一案とのことでした。
後藤本家作品として11代、13代、14代、15代の名品と時代順に宗珉、政随、矩随、長常、尋甫、光興、一乗、篤興、貞幹、義胤、弘寿が並びました。後藤本家と脇後藤の相違点は実物を手、
いや眼にして初めて分かる要領もありました。小柄の図案も時代変遷、流行があり、刀剣同様に時代背景がある。縦図案は実用性より鑑賞目的であって古い時代にはあまり見られないとのことでした。
参考図書として加島進著の日本装剣金工年表をご紹介頂きました。
葉山先生には御多忙また炎暑の中、名品を多数ご持参いただき、かつ貴重なお話をご披露頂きました。改めて御礼申し上げます。
なお8月は定例鑑賞会お休みですが、4日に有志持ち寄りによる勉強会を予定します。参加者は自慢のあるいは極め・真贋不明のお品を一品以上ご持参いただき、
持ち主が判者を務め、皆さんと意見交換したいと思います。9月の定例会は15日(日)午後、市川市文化会館で講師に冥賀先生をお迎えする予定です。
令和6年6月鑑賞会
強い日差しが照り付けた令和6年6月16日(日)の午後、6月の支部鑑賞会勉強会を市川市文化会館で20名弱の参加を得て開催したので活動報告とします。
今回は研師の藤代龍哉氏に講師をお願いし、短刀2口、刀3口の名品を御持参頂きました。順に来、吉道、月山、則光、直胤でした。少々ヒネリ感ある名品でしたが95点一人、85点三人でした。当日の様子は画像にて雰囲気を感じて下さい。
1号は上品な内反り小振りの短刀で鎌倉後期の体配、三字銘の逸品。地景、地沸が見事で入札は来と新藤五に分かれました。来と比べて新藤五は匂口が締まり、鉄が強いとのこと。帽子がやや大丸のせいもあったのでしょう。きれいな銘でした。
2号は重く長いがっしりとした慶長然の体配にかなり長い直焼き出しと簾状の砂流しが顕著な初代丹波の豪刀。年紀はないが元和頃の作品。なお初代丹波は年紀作、長い簾刃、三品帽子は少ないとのこと。また新刀の焼き出しについて京、大阪、江戸の違いをボードに描いて解説頂きました。
3号は綾杉肌が顕著で、ふくら枯れた鋭い姿の室町短刀。殆どの方が月山に入札されました。綾杉肌は月山以外にも波平、下原、会津兼定にもあるとのこと。また鍛錬の過程から来る肌が表は山、裏は谷に見える点を教えて頂きました。
4号は2尺5寸近く、反りの強い細身太刀姿の永享備前の名品。表に作者、裏に文正年紀ありました。応永備前と末備前の間にあって両者の特徴を二分したような出来。室町備前でも応永、小反、永享、末の違いを学ぶ良い機会でした。
5号は鏡面のような地鉄に丁子刃を焼いた大磨上げ感がある新々刀で備前伝写しの傑作。土壇拂の截断銘もありました。新々刀でも鏡面のような肌もあれば意図して肌物にするものもあるとのこと。古刀への入札も何人かありましたが大半は大慶への入札でした。
総じてみれば今回は地肌にも注目される良い勉強会になりました。
また先生の研磨経験から砥石と刀の硬軟の関係、また地の色の出方についてもご教示頂いた良い勉強会でした。筆者の理解不足によりうまく説明できないことをご容赦ください。
藤代先生、ご参加の皆様 暑い中を有難うございました。
次回は7月21日、小柄を中心とした刀装具の勉強会を予定しております。手袋、ルーペをご持参のうえ奮ってご参加下さい。
令和6年5月鑑賞会
前日の夏日から一転して過ごしやすい5月19日(日)の午後、支部鑑定・鑑賞会が市川市文化会館で20余名の参加を得て開催できましたので活動報告とします。今回も著名な刀剣研究家で日頃からお世話になっている岩田隆氏に講師をお願いしました。重刀を含む五口の名品を御持参頂きました。
1号は大磨上げ当麻極めの重要太刀。鎬幅広く、鎬高い造りこみ、細直刃に肌立こころの板目肌で大和伝の中で入札が散りました。保昌なら柾目、手掻なら荒沸えで地鉄冴え、尻懸なら互の目主調、千手院なら一段と古く、竜門は備前風となる。本刀は当麻に絞りたい。古い格言で行光と当麻の関係にも触れられました。
2号は三棟短刀で山城写し。兼元、兼定ではなく元亀の年紀入り氏房在銘の短刀。粗見すれば来国俊ですが、帽子の寄りや棟側の白気心から来写しの美濃伝になろう。金無垢鎺もついて大事にされてきた名品でしょう。水影もかすかにありました。善定は考え過ぎか。
3号は保昌極めの重要短刀。鍛えは総柾で帽子は焼き詰め掃きかけ。生の茎は切に桧垣鑢が残る。刃縁の細かな働きや喰い違い刃に時代が上がる雰囲気があります。個銘はともかく貞清・貞興は小振り、貞吉は大振りとのこと。
4号はいわゆる新刀脇差体配で帽子が見難かったが大阪ものに見える。助廣と真改に札が別れたが緩い湾れに奉書紙を裂いたような刃縁で砂流しが刃に向かう点は真改と見たいところ。助廣は棟に向かう感じか。茎を見れば延宝年紀に菊紋あり、ああ矢張りの声も聞こえました。
5号は新々刀らしく長く重く豪快な天保年紀入りの重要固山。平肉あり、素剣の彫や裁断銘あり、互の目に丁子交じりの名品。加藤一派にはここまでの出来は少ない。信秀は平肉つかず、運壽是一は沸出来の丁子になる。
今回は時間に余裕があり、同じお刀に対し前半は鑑定、後半は鑑賞になった良い機会でした。個人的には入札後もじっくりと鑑賞する時間があったことが幸福・眼福でした。
岩田先生、いつも示唆・含蓄・理に適う解説を有難うございます。
次回は6月16日(日)午後、市川市文化会館で藤代先生の予定です。支部会員はもとより刀剣にご興味のある方の見学、参加を期待します。
令和6年4月鑑賞会
葉桜が目立ってきた令和6年4月21日(日)の午後、4月の支部鑑賞会を市川市文化会館で20余名の参加を得て開催したので活動報告とします。
今回は研師の藤代龍哉氏に講師をお願いし、短刀1口、刀2口、脇差2口の名品を御持参頂きました。鑑定順に来、祐定、繁慶、兼元、包貞の5口でした。典型作ばかりで95点が二人、以下90、88、85と高得点が出ました。当日の様子は画像にて雰囲気を感じ取って下さい。
1号は小振りの短刀で鎌倉後期の体配、山城伝三字銘の逸品。地肌は流れ心あるも地沸が見事。殆どの方が一の札で当たりでした。帽子が常の富士よりやや丸い点をとらえ来以外の札もありました。2号は重く長いがっしりとした体配。刃縁は締まり、焼き幅広く、刃中に葉が多くみられ清光がよぎる。俗名こそありませんが天正の裏年紀がある名品。作柄から冬廣、平高田の札もありましたが素直に末備前に入れたい。3号は一見大磨上に見えるがやや変形のうぶ脇差で同作にはこのような異形状が見られるとのこと。地鉄肌立ち、沸がギラつき、粗見で薩摩にも見える。三棟の幅が狭く、卸が急なところを見逃さないこと。4号は1尺8寸強に反り深い大脇差。表は規則的な3本杉、裏はやや不規則な3本杉で後代の兼元調であるが地鉄の良さ、砂流し、金筋の働きありで孫六としての伝来。銘は太く大振りでした。後代での入札がベストとか。5号は反り浅く、元先の幅差つく寛文新刀の体配に大阪焼き出し、玉無しの濤瀾を焼き、地刃が綺麗に冴える。助廣との違いは焼き出し、濤瀾の大きさ、帽子の返りの3点とのことですが、簡単ではないです。包の字体に初代と2代の違いが顕著で本作は2代。藤代先生、ご参加の皆様 有難うございました。
次回は5月19日を予定しております。奮ってご参加下さい。
令和6年3月鑑賞会
お天気に恵まれた3月17日(日)の午後、支部鑑定・鑑賞・勉強会が市川市文化会館で20余名の参加を得て開催できましたので活動報告とします。
今回は著名な刀剣研究家の岩田隆氏に講師をお願いしました。特重、重要を含む五口を御持参頂きました。
1号は大磨上げ京物の太刀。姿美しく、地鉄は極上、肌は緩みなく、地沸が走る感あり、狭い焼き幅に雁股が点在する。健全さと荘厳さに驚きと畏敬の声が上がりました。
これで在銘なら重文クラスでしょう。眼福の言葉がぴったりです。時代を外した札はありませんでした。
2号は在銘の古備前太刀。小乱れ沸えづく焼き刃にやや黒めの大きな地斑映りが見られ、よく練られた地鉄から入札は備前伝に集中しました。
国入りで長船、一文字、雲類などに散りましたがそれぞれの特徴を除外すれば古備前に行くのではとの解説ありました。そう簡単ではありませんが。
3号は新々刀で清麿一門の刀。大切先、ゴリゴリ感、刃中の足が長くいかにも新々刀で時代を外した札はありません。師匠の清麿と比べて二段階くらい大人しいというか
上品な出来であり若干札が散りましたが皆さん最終的には清麿一門に落ち着きました。
4号はやや長め、やや反りのある伊勢の短刀。表裏揃った刃文もあり半数の方は当たりでしたが 一方で山城、相州、美濃、三品などの入札もありました。
久しぶりに見る金無垢台付き鎺と普段目にする伊勢ものより一段と出来が優れていたせいもあったでしょうか。
5号は在銘の片山一文字太刀。岩田先生からは同じ一文字でも福岡、吉岡、片山それぞれに微妙な違いがある点の解説を頂きました。
三作帽子を拠り所とした意見もありましたが、三作帽子と丁子が共存する例は少なく、帽子のみの鑑定は避けたいとのことでした。
市川市の広報誌を見て相談の方がありました。当支部では刀剣類の販売、買取はしませんがご相談には出来るだけ対応いたします。
見学ご希望はこちらの準備もあり事前連絡をお願いします。本ホームページのお問い合わせも活用ください。
会員が一人増えました。少し遠方からのご参加です。会員各位のご協力をお願いします。
次回は4月21日(日)午後 市川市文化会館で藤代先生の予定です。
令和6年2月鑑賞会
梅便りが届く2月18日㈰の午後、当支部の勉強鑑定鑑賞会が市川市文化会館で20余名の参加を得て開催できましたので活動報告とします。
つるぎの屋店主の冥賀吉也先生を講師にお迎えしました。先生は保昌、國廣、住人忠吉、近江大掾忠廣、左行秀の五口を御持参くださいました。
保昌は大磨上の金象嵌極め、鎬幅広く、鎬高く、柾目が目立つ大和傳。目釘孔が五つあり長年愛蔵されてきたことがわかります。國廣は長寸、大切先の慶長姿でざんぐり肌より一段綺麗に詰んだ地鉄。同然でも国儔は良い、親國はまずい、と。忠吉は反り深く、物打ちの働きが素晴らしく、刃区たっぷりの細身脇差。小糠肌よりやや粗目の鍛え。忠廣は延宝頃のゴリゴリ体配で、いわゆる小糠肌、肥前刀大鑑の所載品で、三代陸奥の見方は悪くない、と。行秀は地鉄も焼刃も柾目尽しの新々刀らしいゴリゴリ品。立派な鞘書もありました。今回の勉強会に際し、先生は地鉄の勉強になる御刀を選んで下さいました。柾目鍛えは鎌倉の保昌、慶長の国包、新々刀の徳勝、行秀など決して多くはないので、よく覚えておくようご指導がありました。85点が二人出ました。
会の途中、支部ホームページの管理状況の報告と、能登半島地震 被災地支部に対する義援金を協会本部を通じてお届けする旨の議事があり各位の賛同を得ました。
3月鑑賞会は17日午後、いつもの市川市文化会館で岩田隆先生にお願いしております。
令和6年1月支部総会と鑑賞会
令和6年1月14日(日)、千葉県支部の年次総会と新春名刀鑑賞会が市川市文化会館で青木支部長、千葉県東部支部長以下二十余名の参加を得て開催できましたので、報告させていただきます。総会では支部の活動方針確認、前年の事業報告・会計報告、新年の事業計画・予算などが審議され、委任も含め満場一致で可決されました。意見交換としては昨年7月に開設した支部ホームページHPの現状と課題がありました。開設目的に対する達成度や費用対効果の観点から暫くは現状維持するも、HPの簡素化、低コスト化を検討することになりました。他支部のHP運営も参考にさせて頂きたいと思います。支部の顧問で協会専務理事の柴原様にもご臨席いただき、協会本部の状況、刀剣博物館で開催中の特別展正宗十哲の盛況ぶりなどをご紹介いただきました。総会後は新春名刀鑑賞会に移りました。協会本部からは石井学芸部長にお越しいただき、重美を含む五口の名刀を御持参頂きました。古一文字と古備前の二太刀、慶長刀、寛永短刀、天保短刀の名品でした。入札後は、石井先生から回答、解説、講評を頂きました。二口の太刀はいずれも鎬筋を超える映りが見られる鎌倉中期以前の作風、慶長は一門の特徴が随所に出た作柄、寛永は裏に倶利伽羅彫のある時代的には少数短刀、天保短刀は重ねが異様に厚くも鎧通しとは異なる出来と新春に相応しい豪華な鑑定鑑賞刀でした。天地人はそれぞれ73,71,70の僅差で入札上位者にはお年玉が出ました。鑑賞会の後は場所を変え、石井先生を囲んでの新年懇親会が四年ぶりで開催出来ました。石井先生には新年早々また特別展で御多忙の中を千葉県支部にお運びいただき有難うございました。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。
次回は2月18日、次々回は3月17日を予定しております。