令和7年3月活動報告
寒の戻りのような冷雨の3月16日(日)の午後、支部月例の鑑定鑑賞勉強会が市川市文化会館で15余名の参加を得て開催できましたので活動報告とします。
講師は日頃からお世話になっている岩田隆先生です。特重3重要1無冠1の豪華名品を御持参頂きました。内訳は堀川2、山城古1、山城新1、越前新1でした。
堀川1は志津を彷彿させる特重刀で、慶長体配にいわゆるザングリ肌の逸品。早い時期の特重とか。堀川のザングリ表現がいつの間にか定着しているが、具体的な表現が難しく最近は肌立ザラザラ感と表現するのがよいのではとの御示唆ありました。志津写しということで志津、直江志津、大和志津の三派の解説も頂きました。
越前新は薙刀の茎を磨上げた脇差で表は薙刀樋を幹に鎬筋を枝に見立て華やかに梅華樹を彫り込んだ作品。越前物ではあるが康継とは刃縁の働きなどで一線を画す、
というかここまで見事な梅は康継にないとのこと。無冠ではあるものの、早春鑑定会に相応しい薙刀でした。
堀川2は慶長期に見られる片切刃作りの美肌の特重脇差。この作者は、長物は肌立、脇差は美肌との掟があるとのことで、たしかに京舞子さんのような(見たわけではありません)作品でした。
粗見では刃文で正俊、帽子で南紀、等の札が散り、本日は当り無しでした。
山城古はやや大振りの特重短刀で体配、出来、銘から初代信國。倶利伽羅彫も見事で流石特重。信國銘は逆鏨が正しく、それ以外は??。初代、二代、式部丞、左衛門尉と続く。
南北朝から室町にわたり、作風も銘も大きく変わるので信國と見たら初代、二代、式部、左衛門を分けて入札することが望ましい、と。(何度も言われてますが、なかなか)
山城新は重要短刀で太目の金筋、細かな砂流し、江戸初期に見られる小湾がのびのびとした名品。遠くからは新々刀にも見えましたが仔細ではもっと時代が上がる働きでした。
国道→国路→国道と銘を変えている。刀鍛冶といえども切り慣れない銘は難しく、本作の路も慣れない感ありました。
岩田先生、いつも有難い解説を有難うございます。信國の銘写真も準備下さり、感謝です。
次回は4月20日(日)午後、市川市文化会館で藤代先生の予定です。
本日 市川市在住の方が入会されました。居合を嗜むとのことで居合刀などをお持ちとのことでした。皆さんよろしくお願いします。
なお、個銘を伏せた表現もあります、ご容赦ください。
令和7年2月支部鑑賞会報告
春一番のあとのポカポカ陽気に恵まれた2月16日の午後、市川市文化会館で20余名の参加を得て開催できました。
今回の講師はつるぎの屋店主の冥賀吉也先生にお願いしました。新々刀の名品五口を御持参くださいました。
薩摩1、大坂1、江戸3(固山、信秀、細川)を代表するような名品でした。新々刀らしく、いずれも健全、豪快で重さ、重ねもたっぷりでした。
新々刀の概説、個々の特徴、入札の要点など いつもながらの絶妙な解説に参加者は頷くばかり。
新々刀はおおよそ百年であり、大別すれば①最初期の新刀からの流れを汲む時期②涛乱刃の流行る時期③復古刀が浸透する時期④勤王刀が流行る時期
⑤長寸から定寸に戻る明治四年の廃刀令までの時期になり、微妙に作風の変化があると。共通点としては重い、長い、無地風、足が刃先に抜けるなどがある。
出題の薩摩は裸沸が目立ち、芋蔓はわずかで大切先の脇差、大阪は涛乱を引き継ぐも本歌よりはゆるやかで切先のび心の脇差、江戸3点はいずれも長く重くかつ丁子が華麗な刀でした。
細川には生刃が僅かに残っていました。高得点者には刀剣博物館の招待券、冥賀先生から刀剣関係の図書が贈られました。
今回のテーマは3月8日から刀剣博物館で開催される江戸三作展を意識されたとのことでした。冥賀先生、いつも有難うございます。
なお開催に先立ち、2月9日に急逝された前支部長の生前を偲んで参加者一同黙祷を捧げました。
鑑定会のあと、臨時の総会が開催され、満場一致で芝田さんが新支部長に就任されました。
次回3月鑑賞会は16日午後、市川市文化会館で岩田隆先生にお願いしております。奮ってご参加ください。
1月 年次総会と新春鑑賞会
令和7年1月19日(日)、千葉県支部の年次総会と新春名刀鑑賞会が市川市文化会館で青木支部長、千葉県東部支部長ほか二十名弱の参加を得て開催できましたので、報告します。総会では支部の活動方針確認、前年の事業報告・会計報告、新年の事業計画・予算などが審議され、委任も含め満場一致で可決されました。意見交換としては会員増加対策、広報宣伝のあり方、支部ホームページの課題、HP向け資料提供、鑑賞会開催曜日の見直し、有志勉強会のあり方などがありました。支部の顧問で日刀保専務理事の柴原様にもご臨席いただき、協会本部の状況、刀剣博物館の入場者増加、篤志家からの名品寄贈などをご紹介いただきました。総会後は鑑賞会に移りました。協会本部からは荒川学芸部博物館事業課主任にお越しいただき、重美を含む五口の名刀を御持参頂きました。例年通り一本入札二名連記としました。鑑定刀は肥後太刀、長船太刀、山城脇差、堀川刀、江戸新々刀の名品でした。入札後は、荒川先生から回答、解説、講評を頂きました。75点の天位以下 得点上位者には例年通り青木支部長からお年玉が出ました。荒川先生には新年早々で御多忙の中を千葉県支部にお運びいただき有難うございました。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。
次回は2月16日、次々回は3月16日を予定しております。奮ってご参加ください。
令和5年5月支部鑑賞会報告
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